営繕さんの幸せドリル あなたのそばにいる会社の“神さま”
- 著者:さとう みつろう
- 出版:小学館
- 発行:2017年4月17日
- 価格:1,389円+税
- 頁数:405ページ
- 評者:東條 幸廣
- 編集:スピりんく 編集部
スピリチュアルブログ版ダイジェスト
営繕さんの幸せドリルあなたのそばにいる会社の“神さま”は、シンガーソングライターなどマルチな活躍をしているさとう みつろうさんが会社での悩みを、スピリチュアルな目線でわかりやすく解説している書籍です。
本書の構成としては、営業課長として出向した主人公と出向先の社員さんの物語を18話の短編でまとめています。それぞれの短編はすべて、会社を辞めたい理由で上位にあげられる項目にリンクしたものとなっていて、会社で悩みを抱えている人の心に寄り添う言葉を、登場人物の発言を通じて筆者は表現しています。
≪自分を変えると悩みが解決する≫
著者は仕事の悩みから解決するためには、自分が見ている景色を変えてみることが必要だと言っています。会社での悩みを持っている人は、解決策として転職をしたり脱サラをしたりして、自分の環境を変える努力をしています。一見すると、環境を変えることで前の会社での悩みから離れることができるため、新しい環境で楽しく仕事ができる様に思えますが、何度も転職をして似たような悩みを繰り返す人はたくさんいます。このような悩みを抱えている人は何が原因なのでしょうか。それは、悩んでいる人自身が変わらないからだと筆者は言っています。
<悩みは環境とわたしの掛け算で決まる>
仕事での出来事はすべて、「環境」と「わたし」の掛け算で決まると著者は述べています。環境が変わって状況がいくらプラスになっても、悩んでいる人自身がマイナスだとプラスとマイナスの掛け算で結果はマイナスとなってしまいます。
物語の中に登場した例えで、とても印象に残るものがありました。エベレストやキリマンジャロなどの山を登る登山家がいたのですが、この登山家はどの山の頂上からの景色も同じに見えたそうです。しかし、ある日近くの山をふと登ったときに、頂上から見える景色が全く違って綺麗に見えました。なぜこのようなことが起きたのでしょうか。実は原因は単純で、自分に合った眼鏡に変えたからだそうです。
この例え話は、職場にも当てはまることができます。自分を変えて自身の目から見える風景を変えることで、「わたし」をプラスにすることができます。世の中には、転職を繰り返す人はダメだと言われることがあります。しかし、転職で環境を変えることがダメなのではなく、転職の際に私自身も変わることが悩みを解決する大切な手段なのです。
≪見方を変えると、仕事も楽しくなる≫
自分が変わることが大切であると、著者が書いている物語は他にもあります。
仕事を辞めたい理由は18項目ありますが、ダントツで多くの表を集めた理由が「仕事にやりがいがないから」でした。アンケートの結果の様に、仕事が楽しくない人はたくさんいます。会社の仕事を楽しくなく感じる部分もたくさんあります。しかし、自分の見方を変えて、「いつか楽しくなるまで待つ」のではなく「今、自分が楽しくなるため」に仕事をするという風に変えることができれば、視野が一気に変わるそうです。
他にも、明日からすぐに行うことができる気持ちの持ち方を18の物語と共に紹介しています。「わたし」の意識を変えるためにたくさんのことを、著者は物語と共に伝えているのでぜひ書籍で確認してみてください。
目次
- 第1話 部下が協力してくれないから
- 第2話 先輩が脱サラに成功したから私も
- 第3話 会議の時間が長すぎてイライラするから
- 第4話 部下に何度指示しても動いてくれない
- 第5話 パワハラ相談を会社側に出来ないから
- 第6話 職場の飲み会が嫌だから
- 第7話 優秀な同僚と比べられるから
- 第8話 仕事にやり甲斐を感じないから
- 第9話 上司だけど重たい決断が苦手だから
- 第10話 職場の人と趣味が全く合わないから[ほか 8]
- 作者あとがき
一言コメント
仕事に対する自分の心の持ちようを、スピリチュアルな言葉と自己啓発の内容が合わさっているためとても理解がしやすくなっています。
また、18の物語も練りこまれたストーリーで引き付けられるため、1冊をあっという間に読むことができます。仕事で悩んでいる人以外にもスピリチュアル本の導入としておすすめの一冊です。
注目の文章ピックアップ
・各章の最初に、実際にアンケートでリサーチした「会社を辞めたい理由」を提示し、それに基づいたストーリーが展開されます。
・君がそう信じた通りに。世界は、君が信じた通りに観えるものなんじゃから。
・会社Aを辞めた人が、会社Bへ行き、でまた同じ悩みにぶつかる。そこで、会社Bも辞めて、次は会社Cへ行く。ところが、そこでも同じ悩みが待っていた。虎太郎どうしてだと思う?じつはすべてにたった一つの共通点があるんじゃ。
・正解は、AとBとCという会社に移動した「人」が同じなんよ。だから結局、この「人」がD社に行こうが、E社に行こうが、F社に抜かれようが何も変わらない。だって、どの会社に行ったって、その会社に行った「人」が、結局同じじゃないか。
・出来事のすべては、「環境」と「わたし」の関係性で起こる。式にすると、こうなる。「環境」×「わたし」=「出来事」 ということはいくら「環境」を変えても、「わたし」が変わらないと何も変わらないことになる。
・会社を辞めても、辞めた人の意識が変わらなければ、次の会社でも同じ出来事が起こるという仕組み
・仕事が楽しみを与えてくれるんじゃないよ。仕事を、楽しむんだよ。
・「今」、目の前にある仕事を楽しめるように工夫することこそが、仕事のやり甲斐
・「環境」をいくら変えても、そこへ行く人の「意識」が変わってないと同じようなことが起こる。