100年先も大切にしたい日本の伝えばなし
桜井 識子(2023/6/19)

100年先も大切にしたい日本の伝えばなし

  • 著者:桜井 識子
  • 出版:KADOKAWA
  • 発行:2023年6月19日
  • 価格:1,500円+税
  • 頁数:287ページ
  • 評者:井口 まどか
  • 編集:スピりんく 編集部

スピリチュアルブログ版ダイジェスト

日本各地にある神社やお寺には、必ずといっていいほど“由緒(ゆいしょ)”があります。由緒と書かれた看板や立札に、祀られている御祭神や仏様、社殿やお堂の創建時期などが記されているのを見た経験がある人も多いのではないでしょうか。
由緒とは、その起こり、いわれ、来歴などをいいます。神社仏閣によっては、その場所にまつわる伝説、物語、史実なども示されています。

本書は、そうした由緒や伝説などがどこまで真実なのかを確かめるべく、著者である桜井識子氏が実際に神社仏閣を訪れた時のエピソードが具体的に書かれており、楽しく読み進められるのが魅力です。

《2,000社以上の神社仏閣を参拝した著者が気になった場所》
本書の著者である「桜井識子(さくらいしきこ)」氏は、幼い頃から審神者(さにわ)の祖父や霊能者の祖母の影響を受け、神仏や霊などと深く関わりながら育ちました。神仏研究家、文筆家として活動しながら、これまで参拝した国内の神社仏閣は2,000社以上に上ります。

その神社仏閣のスペシャリストである著者が、由緒や伝説について気になったという場所に実際に足を運び、神仏に直接聞いて知った事実、真の姿などをわかりやすく解説しています。

本書の東日本編では北海道の帯廣(おびひろ)神社、青森県の鬼神社、岩手県の三ツ石神社など合わせて12カ所、西日本編では京都府の知恩院(ちおんいん)、島根県の鰐淵寺(がくえんじ)、愛媛県の大山祇(おおやまづみ)神社など13カ所がそれぞれ紹介されており、由緒や伝説を一緒に知ることができるのも魅力です。

《白虎隊・養老の滝の真実》
本書では、神社仏閣のほか、幕末に悲劇的な最期を遂げた会津藩の少年部隊で知られる白虎隊(びゃっこたい)、岐阜県に伝わる養老の滝(ようろうのたき)伝説などについても言及されています。
著者は、会津若松市をたまたま車で通過することになった際、ふと見つけた会津武家屋敷に立ち寄り、会津藩の基礎を学びました。その後、白虎隊記念館、少年たちの自刃の場となった飯盛山(いいもりやま)を訪れ、隊士のお墓の前で白い袴姿の白虎隊士に出会って当時の状況を直接聞けたといいます。

白虎隊は、歴史上は会津の悲劇とされていますが、隊士と話をした著者によると、少年たちは自刃を後悔しておらず、ただ立派に武士道をまっとうしただけであったと述べています。

また、著者が長年行ってみたかったという養老の滝にも実際に足を運び、そこの神様と話をすることで、世の中に伝わる伝説とは違った真実を知ることができたのも興味深い点です。

養老の滝伝説では、その昔、親孝行な息子が偶然お酒の湧く泉を発見し、そのお酒を持ち帰って父親に飲ませたところ、とても喜び、元気になったというストーリーが一般的です。しかし、著者が神様に真実をたずねたところ、お酒が沸いたのは実話ではないが、父親思いの孝行息子がいたのは本当だということがわかりました。本書には著者が神様に聞いた真実が物語のように書かれており、昔話を聞いているかのように楽しみながら読むことができます。

本書には、一般的に知られる史実や伝説、神社仏閣の由緒に関して、著者が直接神仏に聞いた事実のほか、そこで出会った神仏の真の姿、得られるご利益などについても書かれています。掲載されている神社やお寺に限らず、興味を持った寺社をたずねたり、由緒を調べたりしてみたいと思わせてくれる1冊です。

目次

  • はじめに
  • 第1章 東日本編
  • 第2章 西日本編
  • おわりに

一言コメント

神社やお寺の由緒、その場所にまつわる伝説などが真実かを確かめるため、著者が神様に直接たずねたときの会話がそのまま書かれているのが興味深い点です。幼い頃から神仏や霊などと深く関わり、2,000以上の神社仏閣を巡ってきた著者にしかできないリサーチの仕方だと感心させられます。

注目の文章ピックアップ

・事実を知ることは神仏を深く知ることにもなります。もとが人間の神様だったら、生前のエピソードを知ることで神様がより身近に感じられますし、今よりもっと信仰が深まります。

・龍が大空をのんびりと優雅に飛翔している姿は、神々しい雲を背景とした一幅の絵のようで芸術的でした。

・ごく普通に生きる人と違った人生は、数えきれないほどの学びを得る人生であり、その学びは貴重で希少、深くて 尊いものだそうです。

・修行を頑張って霊能力が上がっていくと、いろんな階層が見えてきます。神様の世界がどんどん広がっていくのです。

・物理的にありえないことも平気で起こせる神仏は、やっぱりすごいなぁ、としみじみ思いました。

・そんな社会にいる私たちが超古代の「気」を浴びると、魂が遠い過去世の自分を思い出すので、同調してピュアになれるのです。

・人間に助けてもらったことを感謝している神様はふところが深いです。人間に恩返しをしたいと思っているので、願掛けも親身になって聞いてくれます。

・優しい声かけは相手を癒すだけでなく、自分をも癒やします。この癒やしは神仏からのごほうびですので、魂が喜びます。

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100年先も大切にしたい日本の伝えばなし 桜井 識子

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