ブッダの獅子吼
北川 達也(2020/12/1)

ブッダの獅子吼 原始仏典・法華経の仏教入門

  • 著者:北川 達也
  • 出版:COBOL
  • 発行:2020年12月1日
  • 価格:1,500円+税
  • 頁数:282ページ
  • 評者:峯岸 悠
  • 編集:スピりんく 編集部

スピリチュアルブログ版ダイジェスト

この書籍は、ブッダの教えを現代の私たちでも理解できるようにわかりやすく記した書籍です。ブッダには数々の教えがありますが、どれも人の行いを支えるものです。ブッダのように出家する必要はありません。私たちが目指す先は、人の行いを示す「法」を実践し、「人を大切にすること、人を軽んじないこと(善行)」を実践するだけです。

<<著者「北川 達也」氏について>>
全国の神社を包括する神社本庁から、神職としての学識が認められ、神職妖精機関で取得できる最高階位を授与された人物です。「世のため、人のため」という「神道的な精神」を社会生活の場で実践するために、2005年から現在までソフトウェア開発会社の経営をおこなっています。また神道的な精神を伝えるために、定例セミナーを毎月開催しています。

<<苦行は役に立たない>>
「悟りを開くうえで、苦行は必要なもの」と考えている人は多いのではないでしょうか。しかし、ブッダは「苦行とは役に立たないもの」だといいます。つまり、苦行は悟りを得ることにはつながらないのです。

<<自分自身の身体は、自分のものではない>>
私達は自分の身体は自分の所有物で、コントロールできると信じています。しかし、ブッダは「自分自身の身体は、自分のものではない」と説いています。なぜなら自分の意志では、自分自身の身体を自由自在に変化させるのは不可能だからです。

ブッダは「思い通りにならないものは、自分のものではない」とみなします。私たちの身体は自分だけのものではなく、他者との関係の中で成り立っているものです。

確かに人間は、さまざまな生活環境や他人の言葉に影響されながら生きていますよね。「心身は他人と共有しているもので、私だけのものではない」と考えれば、身体に執着しなくなります。

「私のもの」という意識は強い執着を生み、人を悩ませます。お金や家、仕事への執着に苦しむ人は大勢いますよね。もしあなたが今、何かを失うことへの恐れを感じているなら「すべては他者との縁の中にあるもの」と考えてみましょう。

<<法と善行で自分自身を整える>>
著者は、この書籍でブッダの法を理解することと、人を大切にする善行を積むことをすすめています。法とは、自分を見失った人にとって生きる指針となるものです。他人に依存せず法を心の支えにすると、真の自己に目覚めます。真の自己に目覚めた人は、自分に活きる意味があること、自分や他者の命の尊さに気づけます。

筆者は「真の自己を頼りにして、法を拠り所にすると最高の境地に達することができる」という「自帰依(じきえ)・法帰依(ほうきえ)」の教えは、ブッダが最も伝えたかった教えではないかと考えているようです。そのうえで、身体・言葉・心を使って人を大切にする善行を積めば、あなたの心は喜びに満ち溢れるでしょう。

目次

  • 始めに
  • 第一の扉 ブッダ誕生前の時代背景を知る
  • 第二の扉 ブッダの説く最も優れた道を知る
  • 第三の扉 持戒して、ブッダの弟子となる
  • 第四の扉 精神統一したブッダの禅定を知る
  • 第五の扉 ブッダの悟りの智慧を理解する
  • 第六の扉 ブッダのように、悟りを深化させる
  • 第七の扉 ブッダの説く善行を実践する
  • 第八の扉 迷信へのブッダの見解を理解する
  • 第九の扉 ブッダの教えを発展させる
  • 第十の扉 ブッダのように、法に目覚める
  • 結び

一言コメント

現代の日本人に向けてブッダの教えをわかりやすく説いた書籍です。ブッダの教えに触れるのは初めてでしたが、やるべき行動とやってはいけないことの内容が具体的に説明されており、すぐに実践しやすいと感じました。筆者の言葉だけでなく原典訳も載っているため、ブッダの教えをより深く学びたい人にもおすすめの書籍です。

注目の文章ピックアップ

・ブッダは、無条件に受け入れなければ成り立たなくなる教えではなく、誰もが言葉によって理解できる教えを説いていたのです。

・ブッダは、「苦行とは、悟り(不死)を得るためには、役に立たないもの」と言います。

・理想的な人とは、周囲の人々を気づかいながら、優しい言葉を掛けられる人のことを言います。そして、その態度からも、優しさがにじみ出ている人のことです。さらに、思い上がることがない人のことです。

・ものを食べるときには、まず心を落ち着けることです。そして、心身の状態を客観的に観察して、今、必要とする食事を考えます。すると、ある程度は食事の質を変え、食事の量を抑制できるようになると思います。

・物事を成し遂げるためには、才能よりも、夢や目標を持つことのほうが大切です。そして、夢や目標を決めて、時間をうまく使って、物事に打ち込んでいると成果は徐々に現れてきます。

・ブッダは、「自らの経験から合理的に判断できない質問」や「議論の根拠が示せない質問」には答えませんでした。なぜなら、「法に目覚めること<悟り>」に役に立たないからです。

・ブッダは、「予言に頼らない者は、正しく世を渡る」と言います。

・相手を理解するときには、心をのぞき見したり、推測したりするのではなく、しっかりと相手の言葉を聴いて、その想いを受け止めることが大切です。ブッダは、手品でもできてしまう他心通を恥に思ってやめたといいます。

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