ブッダの獅子吼 原始仏典・法華経の仏教入門
- 著者:北川 達也
- 出版:COBOL
- 発行:2020年12月1日
- 価格:1,500円+税
- 頁数:282ページ
- 評者:渋谷 尋
- 編集:スピりんく 編集部
スピリチュアルブログ版ダイジェスト
≪解放のための法の始まり≫
私たちは、常日頃から悩みや苦しみ、執着などを抱えて生きています。
苦しみや悩みが多くなるほど、人としてどう生きればいいのか?
生きる意味があるのか?拠り所となるものは、どのようなものなのでしょうか?
今よりも生きやすくなるためにはどうしたらいいのか?と、難しい問題に直面し、さらに生き辛さを助長させています。
しかし、そのような問題に向き合った人がいます。ネパールのインド国境付近に位置するルンビニに誕生し、後に悟りを得た「ゴーダマ・ブッダ」です。
日本では、「お釈迦様」や「釈尊」、「仏様」と呼ばれている人物です。
本書は会社経営を行っている著書が、ブッタの教えを読み解き、社会生活を送る現代の日本人に役立つ教えをのみを取り上げ、現代の日本人に、ブッタの肉声に近い仏典の教えを生き生きと伝えていけるように分かりやすい文章で私たちの心に響くようにまとめています。
本書を読めば、現代を生きる私たちにとって必要な教えや法が分かり、悟りを開くことで悩みや苦しみ、執着などを手放し、よりよく生きていくことができます。
≪法に目覚め悟りを得るために≫
ブッダが説いた法とは悟りとは一体どのようなものでしょうか?
法とは、仏法とも呼ばれ、「人の行いを支えるもの」のことをいい、法を「知って、理解して、実践すること」を法に目覚めるといいます。そして、法に目覚めたことを「悟りを得る」や「悟りを開いた」などといった表現をします。
法は、「信仰する」ことから始まり、
「中道」「無明」「四諦」「八正道」「正語」「正業」「正命」「正精進」「正念」「正定」「正見」「正思」「縁起」「非我」「死」「無常」「空」「業報」「善行」「供養」「無気」「迷信」「神通力」「忍耐」「修行」「在家者」「時」「善き友」「拠り所」といった法があります。これらの法を理解し、実践することで正しい道を歩みながら、悟りを開き、今よりもよりよい生き方ができるようになります。
全てを説明すると長くなってしまうので、
ここでは「業報」という法を紹介したいと思います。
業報とは、現在の「行い<業>」(原因)に応じて未来の「報い」(結果)が現れることをいい、「善い業」には「善い報い」があり、「悪い業」には「悪い報い」があると考えられています。
「善い業」とはどのようなものでしょうか?
例えば、物事を成し遂げるためには、才能よりも、夢や希望を持つことが大切です。多くの場合、日々の成果は目に見えないくらい小さなもので、努力をしても成果が見られない夢や目標は、諦めたくなってしまいます。
しかし、夢や目標を決めて、時間を上手く使って、物事打ち込んでいると成果は徐々に現れてきます。
物事に打ち込むことが習慣になると、夢や目標に向かうことができ、
物事を成し遂げる喜びを味わうと、次の夢や目標が近づいてきます。
このような善の「行い<業>」を積んでいると、その報いが結実したときには幸せになることができます。
また、一つの笑顔のあいさつの「行い<業>」でさえも、人から人へと広がり、その業は時代を越えて残っていきます。
≪法に目覚め、悟りを得ていくこと≫
法を実践し、私たちが「善行を積むこと<修行>」をしている場所を「聖地」と呼びます。著者は聖地が皆様の力によって、日本中に、広がっていくことを期待しています。
著書名である「ブッダの獅子吼」は、ブッダが自信をもって、ライオンが吼えるように、声を響かせながら教えをといている。という著書の想いを理解すれば、今をよりよく生きていくことができます。
目次
- 始めに
- 第一の扉 ブッダ誕生前の時代背景を知る
- 第二の扉 ブッダの説く最も優れた道を知る
- 第三の扉 持戒して、ブッダの弟子となる
- 第四の扉 精神統一したブッダの禅定を知る
- 第五の扉 ブッダの悟りの智慧を理解する
- 第六の扉 ブッダのように、悟りを深化させる
- 第七の扉 ブッダの説く善行を実践する
- 第八の扉 迷信へのブッダの見解を理解する
- 第九の扉 ブッダの教えを発展させる
- 第十の扉 ブッダのように、法に目覚める
- 結び
一言コメント
仏典と聞くと最初は少し難しい言葉が多いかな?と思っていましたが、本書は分かりやすく、さらに現代的解釈で書かれているので、日々実践しやすく、心に残る言葉で構成されています。今とこれからをよりよく生きるために必要なことは本書の中にあります。
注目の文章ピックアップ
・仏法で「汚れ」というときには、外面的なことを一切問わずに、内面的なことのみを指して使います。
・「思い通りにならないこと<苦しみ>」も、「固定的な実体ではないこと<空>」なのです。もし、今が苦しくても、いつしか苦しみはなくなります。「空」を理解すると、執着から遠ざかり、苦しみを離れ、人を大切にすることができようになります。
・「行ったことは、目には見えなくても、なくならない」この考え方は、ブッダの信念のように感じます。ブッダは、理性的に考えて、そのような信念をもったほうが人々を幸せに導く子ことができると考えたのではないのかと思います。
・賭博は「人の行いを支えるもの<法>」の成り立ちを妨げる行為です。財は、賭博で得るものではなく、法にかなった行為をして得るものなのです。
・目の前に人がいるときには、その人に慈しみの心を向けます。もし、目の前に人がいなくても、気になる人や大切な人を思い浮かべて慈しみの心を向けます。