幸運の教科書 いい気分、いい流れ、いい感情で「今ここを生きる」
- 著者:武田 双雲
- 出版:三笠書房
- 発行:2024年3月5日
- 価格:850円+税
- 頁数:248ページ
- 評者:向井 未央
- 編集:スピりんく 編集部
スピリチュアルブログ版ダイジェスト
<<未来志向では幸せが得にくい>>
満たされていない人や幸せを感じられていない人たちは、何かを得ることで、変われるかもしれない、うまくいくかもしれないと考えることがあります。
本書は、何かが手に入れば本当に幸せになれるのか?といった視点で書かれています。
例えば、売上の目標数字を達成できたら幸せになれるのかといった問題があります。
達成したときには幸せを感じられるかもしれませんが、またすぐに新たな数字の目標を目指し、不安や心配などを抱えることもあるでしょう。
このように「いつの日か、○○すれば幸せになれる」という考え方を、著者は「未来志向」と呼んでいます。
未来志向でいると、一瞬ほっとしただけで、幸せではない状態に逆戻りしてしまうこともあります。
今の時代は、がんばっても未来がよくなるイメージが持ちにくい時代です。
そのため、「いつか」幸せになりたいという未来志向にとらわれず、「今この瞬間」に幸せになっていくことが大切といえます。
<<未来志向から抜け出すメリットとポイント>>
未来志向から抜け出すことで、次のようなメリットがあります。
・不安や悩みのループに陥らずに済む
・楽しく暮らしやすくなる
未来志向から抜けて幸せになっていくためには、「今」を生きることがポイントです。
「いい機嫌」や「いい気分」、「いい感情」でいることで、今、幸せになっていけます。
著者も未来志向にはとらわれていません。
「今」を生きている著者は、いつも元気でエネルギーに溢れており、毎日や人生を楽しく過ごしています。
自由にやりたいことを行いながら、日本の文化の発信者としても活躍中です。
本書では、著者が実践している、今この瞬間に幸せでいるための心の持ち方が対談形式で紹介されています。
<<「今」幸せになるために制限を外す>>
日常の中には、刷り込まれた文化が多く存在しています。
例えば、雨は嫌なもの、仕事はつらく、月曜日は憂鬱なものといった考え方です。
ものごとにこうしたレッテルが貼られることで、赤ちゃんが世界を認識できるようになっていくなどメリットもあります。
しかし、刷り込みによって今苦しい人や元気がない人は、部分的に洗脳を無効化することも良いと著者は考えます。
レッテルを無効化する方法として、「無」が語られる般若心経にも触れられています。
また、著者は人間や植物、動物、物体、物質など、森羅万象を区別しない赤ちゃんのような意識で過ごしています。
「これは朝なんだろうか」、「なんで犬と猫の区別がつくんだろう」、「書道家ってなんだろう」など、つねに関心や好奇心をもって、ものや現象をうたがって見ています。
なにごとも確定させないことで、自分自身はこんな人という枠にはまらない状態を作ることが可能です。
とらわれから自由にならなければと強く考える必要はありません。
レッテルを捨てられたらおもしろいかもしれない、という姿勢で読み進めてみることがおすすめです。
本書にはこのほかにも、刷り込みによるレッテルをはがすための考え方や、「今」幸せになるためのコツが多数散りばめられています。
目次
- プロローグ
- Lesson1悩みの取扱説明書 とらわれから自由になって可能性は無限大に!
- Lesson2幸せの取扱説明書 幸せが“好んで集まる場所”を知ってたっぷり幸せのなかに身を置く!
- Lesson3自分の取扱説明書 感情を上機嫌に整えて勝手に幸せがやってくる人になる!
- Lesson4思考の取扱説明書 考えないで感じる!
- エピローグ
一言コメント
対談形式なので、話の内容がイメージしやすく、スムーズに読み進められました。
これはこういうものだと気づかず刷り込まれているものを、とらえ直すきっかけに適した書籍だと感じます。枠を超えて、「今」幸せになっていきたい方へおすすめです。
注目の文章ピックアップ
・だって、江戸時代って今より農民が多かったはずだよ。雨が降ったら畑に水をあげなくていい。「やった、雨だー!」となったんじゃない?
・わかる。それ、ぼくもあるよ。楽しそうに仕事をしている人を見ると、「ずるい」と感じる人はけっこういるから。
それも、「仕事=つらい」という刷り込みがあるからだろうね。
・でも、成長の過程で刷り込まれる文化は、あまりにも大量で防ぎようもない。
しかも、言葉を身に付ける過程で勝手に入ってくる。
・ついつい、どんな仕事をするかとか、どの会社で働くかとかばかり考えてしまいがちだけれど。どこに住むか、どこで働くかって、とても大事ですね。
・感情に流されるままだと危ないというのは、ある意味で正しいからね。
でも、それは感情を軽視すべきだということではない。
・多いとか少ないとかでなく、自分が持っている100円に関心を向けて、観る。それをしないで、「多い」とか「少ない」という見方をしている限り、たとえ1億円持っていても不幸だろうね。
・強い自分も、弱い自分も自分なのに、「弱い自分に克つ」という言い方はとても危険だと思う。
・うまく波に乗るには、うまく乗ろうと思わなくていい。
ただ、海を感じていればいい。
うまく書くためには、うまく書こうと思わなくていい。
ただ、筆を感じていればいい。
これも、「今」を生きるためのメソッドでもありますね。