自分を許せば、ラクになる。
- 著者:草薙 龍瞬
- 出版:宝島社
- 発行:2018年3月8日
- 価格:1,300円+税
- 頁数:255ページ
- 評者:高橋 幸輝
- 編集:スピりんく 編集部
スピリチュアルブログ版ダイジェスト
仕事もプライベートも充実している会社員が、いつの頃からか「怒り」感情が支配するようになりました。なぜ許せないのか、考えてみてもわかりません。もっと言うと自分なのに、自分のことがわからなくなってしまいました。「怒り」の感情が支配されたことにより、周囲との衝突が起こり、自らも満たされない、生きている心地がしないなどの感情に苛まれるようになりました。そんな中、友人にすすめられ、あるお寺に赴きました。そのお寺の和尚と会話するようになり、「許せない」「自分がわからない」感情の「原因」を突き止めます。怒りの原因、それは「刺激」と「反応」の複合体でした。インターネットやスマートフォンなどの外部から、自らの「刺激」と「反応」を起こし、「怒り」へとつながります。また怒りは自らつくり出す「妄想」からも生まれていきます。「怒り」の導火線となる「刺激」「反応」「妄想」を取り除くために、自らの感覚を見つめる「サティ(瞑想)」や「正しく考える」ことにあります。和尚との会話を通して、会社員は自らあった理由のない「怒り」に気づき、脱することができるようになりました。
あなたが持っている理由のない「怒り」には「原因」があります。その原因にある「刺激」や「反応」は周囲の環境もあれば、なんとなく触れる情報からも起こります。外部からだけでなく、内部にある感情からも「妄想」として生まれ、それが「刺激」や「反応」となって変化します。また「妄想」を辿ると、自らある「悩み」や「不満」から生まれます。「妄想」や「刺激」「反応」から生まれる「怒り」から脱するためにはどうしたら良いでしょうか。手段として、まず「怒りの原因」や「自らの感覚」を「知る」所にあります。その知る中には自らの感覚に意識を向ける「サティ(瞑想)」を行うことで、自分の心や感覚の状態を知り、怒りを解消するにはどうしたら良いかを見出すことができます。一例として、よくあるインターネットのニュースやSNSの書き込みなどで「怒り」を覚えてしまうのであれば、そのインターネットを「断つ」ことです。ようは外部からの「刺激」をなくすことによって、自らの内面を見つめることができ、怒りの原因を突き止め、正しい考えを増やすことにつなげる。正しい考えを増やすことにより、怒りが収まり、自分自身を理解することができるようになります。他にも「妄想」についても、要因としては自分自身の人生の中で培われた「執着」や「業(ごう)」によって生まれます。「執着」は、外部からの反応が自らの心の中にて続いている状態であり、「業」は心の奥底にある力を表しています。過去の人生を振り返ることにより、「執着」や「業」と呼ばれる「気づき」を得ていき、「妄想」が抜けていき、「怒り」も抜けていくようになります。
「怒り」は誰にでもあります。しかしそれがどこにあるのか、見定める必要があります。内面にある「妄想」から来ているのか、あるいは外部からの「刺激」や「反応」にあるのか、見定めるためにはサティや、妄想の輪を紐解くことをはじめ、「原因」を探っていくことが先決です。そこから原因を解消していき、怒りから抜けだし、心をニュートラルにでき、幸せな人生を歩んでいくことにつながります。本書は「怒り」はどこにあるのか、そしてどう抜けだし、「心」をニュートラルにしていくか、具体的な方法まで網羅されている一冊です。
目次
- 第1章 春
- 第2章 梅雨
- 第3章 夏
- 第4章 秋
- 第5章 冬
- 第6章 再び春へ
一言コメント
人は誰しも「怒り」という感情に苛まれます。しかしその「怒り」がどこにあるのか、なかなか気づくことはできません。本書はその「怒り」がどこから来るのか「心」の面から具体的に紐解くことができ、気づく助力となる一冊です。
注目の文章ピックアップ
・怒りの原因 = 刺激 + 反応
・執着とは、特定の反応が持続している状態をいいます。
・業とは、心の根底で働いている力のことです。
・心に受ける刺激が少なくなれば、確実に反応は減る。反応が減れば、心はクリアになる。クリアな心は、軽くなる。軽い心なら、目覚めることも、動くことも、容易になる――。
・混乱した心を整理して行くには、表面に溜まっている妄想や怒りを、まずは洗い流していくことです。そのためには、感覚に意識を向けることが一番です。
・妄想こそ苦しみの温床なのだ――と自覚してください
・何に怒っているのか、何が許せないのか、その“原因”に気づくことです――。
・「大事なのは、仏教そのものではありません。一人ひとりが幸せに生きることです。その方法も、自分で選んでよいのです」
・人間には承認欲があります。その欲を満たせるような妄想を、瞬時にふくらませてしまいます。その妄想のほとんどは、現実の自分・現実の相手を『上回る』ものです。
・心とは面白いもので、「なんだ、これって妄想の輪を広げて、相手とぶつかっていたんだ」と気づくと、別の見方ができるようになる。「いちいち妄想で反応しなくていいんだ」と思えるだけでラクになれる。