愛と涙と勇気の神様ものがたり まんが古事記
- 著者:ふわ こういちろう 戸矢 学
- 出版:講談社
- 発行:2015年6月29日
- 価格:1,400円+税
- 頁数:175ページ
- 評者:宮村 凌
- 編集:スピりんく 編集部
スピリチュアルブログ版ダイジェスト
『まんが古事記』は古事記に描かれている神々のやり取りをコミカルに、しかも原典尊重という姿勢を崩さず、戸田学先生監修のもとに描いております。
<<神様が国と神さまを生む「国生み」と「神生み」>>
まず、何もない無の空間に生まれた神様がいました。それが「アメノミナカヌシ」です。
この一柱は姿を隠したのですが、続けて誕生したのが「タカミムスビ」「カミムスビ」「ウマシアシカビヒコヂ」「アメノトコタチ」です。
その後次々と「神世七代」が生まれる中、最後の七代目に生まれたのが「イザナギ」と「イザナミ」でした。
イザナギとイザナミの仕事は「国生み」と「神生み」です。
泡のような存在だったものを国土として固め、日本で最初の「オノゴロ島」を作ります。
二人の神はこの島に降り、さらに国を生み始めたのです。この国生みによって今の日本列島の原型が生まれました。
次にイザナギとイザナミは神生みを行い、その結果以下のような多くの神を生み出します。
・住居に関わる神七柱
・水に関わる神三柱
・大地に関わる神四柱
・生産に関わる神三柱
<<神社の参拝手順である禊>>
イザナミは火の神である「ヒノヤギハヤオ」を生むときに大やけどを負いました。
瀕死の状態でも神を生み続けましたが、ついにイザナミは息を引き取ってしまいます。
悲しみに暮れたイザナギはなんと、イザナミを迎えに黄泉の国へ行くことを決断しました。
到着した黄泉の国からイザナミを助けようとするのですが、このときイザナミはすでに腐乱して変わり果てた姿。
ここでイザナギも黄泉の国へ引きずり込まれそうになりましたが、なんとか帰還を果たします。
黄泉の国から帰ってきたイザナギは、黄泉の国で穢れた身体を「竺紫の日向の橘小門の阿波岐原」で清めました。
このときイザナギが行った禊こそ、神道の禊の原型であり、現代に伝わる神社を参拝するときに手水舎などを使って行う禊や、葬儀後に行う「清めの塩」といった行為なのです。
<<三種の神器「八尺瓊勾玉」と「八咫鏡」>>
イザナギの禊では、イザナギがそのとき身につけていたものや身体の垢などから陸路の神々や海路の神々などの多くの神が生まれました。
そして、イザナギが最後に顔を洗ったとき、左目から太陽の神「アマテラス」、右目から月の神「ツクヨミ」、鼻から嵐の神「スサノオ」が誕生したのです。
中でもアマテラスは、すべてのものに平等な光を与える神として尽力していたのですが、海原を治める役目のスサノオが役割を守らなかったことで、川や海や山が荒れ、疫病などの禍が起こり始めました。
その行動を止めようと頑張ったアマテラスでしたが、ついに大きな悲しみを抱えて「天岩戸」に隠れてしまったのです。
アマテラスを失った日本は闇に覆われ、八百万の神はアマテラスを何とか連れ出そうと努力します。
そのときに作られたのが、今も使われる三種の神器の2つである「八尺瓊勾玉」と「八咫鏡」です。
<<三種の神器「草薙剣」>>
一方、騒動の原因であるスサノオは追放され、お腹を空かせて歩いていました。
出雲国までやってきたスサノオは、ある老夫婦に会います。彼らに聞いたのは「ヤマタノオロチに怯えて暮らしている」という話。
そこでスサノオは、老夫婦やその娘を助けるため、罠を使って見事ヤマタノオロチを退治したのです。
スサノオが持っていた十拳剣は戦いで壊れてしまいましたが、ヤマタノオロチにとどめを刺したとき、尾の中から「天叢雲剣」が出てきました。
これが、後の「草薙剣」であり、現在も儀式で使用されている三種の神器の1つなのです。
<<各地に祀られる神々>>
このような歴史をたどる中で、農業・産業の神様、縁結びの神様など多くの神様が生まれました。
それぞれの神様は、日本各所で祀られ、私たちは今神社を参拝することでその神様たちに会いに行きます。
日本の行事に使われる三種の神器、神社に入って行う禊、そして各地の神社に祀られる神様は、その一つ一つが日本の成り立ちを表す歴史そのものなのです。
目次
- 古事記の名場面
- とってもわかりやすい神様系図
- 著者のことば
- 古事記ができるまで
- 其の一 イザナギ・イザナミの国生み、神生み
- 其の二 天岩戸とヤマタノオロチ
- 其の三 オオクニヌシの国作り
- 其の四 国譲り
- 其の五 天孫降臨
- 番外編 中巻・下巻ダイジェスト
- 古事記と神宮
- 著者めも
- 著者あとがき
- 監修者あとがき
一言コメント
私たちが生きるこの日本は、神様たちが奮闘してようやく作り上げた国なのです。その成り立ちを知ることは、現在でも続くしきたりを理解することにも繋がります。この国を作ってくれた神様が愛おしく、すぐに会いに神社へ行きたくなるのではないでしょうか。「まんが古事記」はそんなことを思い起こさせてくれる一冊です。
注目の文章ピックアップ
・世界で一番古い国、日本 そのルーツが古事記にあって 今のぼくらとちゃーんと繋がっている
・30年以上かけて完成したのが古事記です。
・「古い事を記しました」という意味
・日本最古の書「古事記」は、歴史書でもあり文学としての評価も高く日本の宗教 文化に今も多大な影響を与え続けています
・闇夜に灯る「ひとつ火」はこういうことから縁起が悪いということになったらしい
・神棚などには必ず2本(対で)灯しましょう
・八咫鏡と八尺瓊勾玉は現在まで伝わる天皇の即位の証「三種の神器」のうちの2つですよ!
・四男ワカミケヌ(若御毛沼命)は後の初代天皇神武天皇となる人物です