喜びから人生を生きる! ~臨死体験が教えてくれたこと~
- 著者:アニータ・ムアジャーニ
- 出版:株式会社ナチュラルスピリット
- 発行:2013年6月15日
- 価格:1,600円+税
- 頁数:286ページ
- 評者:井口まどか
スピリチュアルブログ版ダイジェスト
癌を患い、余命を宣告されて、一時は昏睡状態に陥ったものの、再び目覚めた後に病気を克服した、著者であるアニータ・ムアジャーニ氏本人の奇跡のストーリーです。
本書のすばらしいところは、筆者が経験した不思議体験を単に物語るのではなく、その貴重な体験を通して学んだことを私たちに伝授しているところです。著者は本書の中で「この世に戻ってきた目的は、他人を幸せにするため」と述べています。喜びと幸せに満ちた人生を送るためのコツを知りたい人におすすめの書籍です。
《癌は恐れの気持ちの現われだった》
3大生活習慣病の一つである癌は、日本人の死亡原因のトップです。癌の主な発生原因は、食生活、ストレス、生活習慣などとされています。一方、著者が癌を患った原因は、それらによるものではありませんでした。
著者は、歳の近い親友や親戚が相次いで癌を発症し、2人を心配するとともに、癌そのものに対する恐怖心が大きくなっていました。そして、著者自身も癌を患ってしまったのです。本書の中で、著者は、自分が病気を発症した原因は、癌に対する恐れの気持ちだったと語っています。
臨死体験をしたことで恐怖を乗り越え、癌の要因を取り除くことができた著者は、再びこの世に戻り、人生を取り戻せました。末期癌から生還し、かつ完治したことは、まさに奇跡としか言いようがありません。しかし、本書を読み進めると、「奇跡」の一言では片づけられず、著者にとって必然的なできごとだったとさえ感じられます。
《自分が「愛」の存在だと気づくこと》
臨死状態に陥った際、著者の魂は身体を離れて、痛みも恐れも感じなくなっていました。五感はないが、あらゆるものを鋭く感じられ、時間の概念はなく、過去・現在・未来を自由に行き来でき、望んだものがすべて目の前に現れるといった世界にいたのです。この世で五感を使って物事を理解しようとする私たちにとっては、想像もつかない世界です。
著者は、このとき、「そこにあったのは純粋な愛だけだった」と述べています。そして、私たち一人ひとりが愛の存在であり、誰もがありのままですばらしい存在であることに気づきます。自分のことを後回しにせず、自分の心に従い、自分を愛することで、人との関わり方も変わり、他人をも幸せにできるというのが筆者の主張です。
私たち自身が愛の存在であることを知り、自分のすばらしさを理解することで、喜びと幸せに満ちた人生につながるのです。
《私たちは一つである》
筆者は、私たちすべての人間は、すべての人と相関関係にあり、つながっていると言います。一人ひとりバラバラなように見えても、私たちは全体で一つの集合体を形成しています。つまり、お互いに影響し合っており、全員が集合体にとって必要な存在であるというのが筆者の主張です。
臨死体験中に、筆者は、幼い頃のいじめっ子の存在ですら愛おしく感じたと述べています。誰もが愛の存在で、どんな人間も、一人ひとり生きる意味を持っているのです。これが、筆者が言うところの「ワンネス」であり、私たちはみんなで一つなのです。
私たちがこの世に生まれてきたことを奇跡と呼ぶ人もいますが、本書を読むと、それは必然だったと感じられます。誰もがすばらしく、誰もが必要な存在であり、自分らしく堂々と生きることの大切さを教えられる一冊です。
目次
- まえがき
- はじめに
- パート1 正しい道を求めて
- プロローグ 私が“死んだ”日
- 第1章 多様な文化の影響
- 第2章 ヒンドゥー教とキリスト教のはざまで
- 第3章 お見合い結婚でのつまずき
- 第4章 真のパートナーとの出会い
- 第5章 癌の宣告
- 第6章 救いを求めて
- パート2 死への旅路、そして生還
- 第7章 身体を離れて
- 第8章 神の愛を体験する
- 第9章 この世に戻る決心
- 第10章 すべての癌が消えた ほか全18章
- おわりに
- 訳者あとがき
一言コメント
筆者が臨死体験を通して見た世界、感じたもの、学んだ気づきが詳細に書かれています。それは、「不思議体験」や「奇跡」などの言葉で表せるものではありません。本書は、私たち一人ひとりが喜びと幸せに満ちた人生を歩むために、筆者から送られた愛のメッセージそのものです。
注目の文章ピックアップ
・その時、「神は存在ではなく、存在のあり方なのだ。そして、私は今、そのような存在のあり方をしている」という悟りが得られ、その感覚に圧倒されたのです。
・すなわち、私たちは一つであり、一人ひとりが集合的“全体”に影響を与えているのです。
・自分が本当は誰かに気づき、本当の自分のすばらしさを理解したので、もし身体に戻る選択をすれば、病気は急速に治癒するだろうとわかったのです。
・その時の私は、死ぬことから癌や抗がん剤まで、あらゆるものに対する恐怖感を完全に乗り越えていたので、自分を病気にしたのは恐れの気持ちだったと確信しました。
・本当の喜びや幸せは、自分を愛し、自分の心に従い、ワクワクすることをしている時に、見つけられるのです。
・逆に、周囲の人がどう思おうと時間をとって自分の中心に戻るようにすると、全体とのつながりに気づけて落ち着きや満足感を取り戻すことができ、大きな障害のほとんどは消えてしまいました。
・愛の存在であるとは、自分の魂をはぐくみ、自分の欲求を満たし、自分のことを後回しにしないことが大切だと気づくことです。
・あなたが学ぶべき唯一のことは、自分はすでに到達したいと思っていたものになっているということです。恐れずに、自分のすばらしさを思うままに表現してください。それが、あなたがこの世にいる理由です。