反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
- 著者:草薙 龍瞬
- 出版:KADOKAWA
- 発行:2015年7月27日
- 価格:1,300円+税
- 頁数:222ページ
- 評者:宮村 凌
- 編集:スピりんく 編集部
スピリチュアルブログ版
著者である草薙龍瞬氏は、僧侶であり「興道の里」の代表を務める人物です。草薙氏は、宗派に属すことなく、「現実の問題解決に役立つ合理的な方法」として、仏教の本質を伝える活動を行っています。
本書では、仏教の教えのもととなるブッダの言葉を引用しながら、どんな悩みも解決へ導く、効果的な実践方法をわかりやすく解説しています。本書で知ることは「正しく考えることで、どんな悩みも解消できる」ということです。
それでは、『反応しない練習』を4つのポイントに分けて、要約していきます。
<<悩みの原因は心の「ムダな反応」>>
私たちは普段の生活の中で、周囲の人間や環境に対して反応することで悩みを作り出します。
生活に余裕が持てなかったり、まわりとの人間関係だったり、失敗や不運を感じたりと、さまざまなストレスがありますが、これらは全て“心が反応”することによって生み出されているのです。
たとえば、人の言動にイライラしたり、失敗して落ち込んだりというのも、心が反応している証拠なのです。そして、全ての悩みはこのような“心の反応”から始まります。
だとすれば、悩みを作り出す根本的な要因である反応に対して“ムダな反応をしないこと”が解決策であり、これこそが、全ての悩みを解決する方法だと著者は言っているのです。
<<悩みを理解する>>
私たちは悩みを解決するためにその原因を“無くそう”と努力します。しかし、悩みを解消するために必要なことは悩みを“理解する”ことです。
悩みや苦しみの原因は“執着”であることはよく言われることで、“執着を手放す”という表現で解決策が示してあります。しかし、執着を手放すことは容易ではありません。それはなぜなのか。もう少し深く原因を探るとその答えが現れます。
何かを言われて怒ったり、過去の失敗を悔やんだりすることは、自分が満たされていないと思う悩みであり、物事に執着する “心の反応”なのです。
そして、この時の心の反応は「もっと自分を認めて欲しい」というものであり、「わたしの心には満たされていない承認欲がある」と理解することができるのです。
正しく理解することで、心はラクになります。それは、悩みの原因である“心のムダな反応”を知ることでもあります。
<<心の状態を見てムダな反応をおさえる>>
悩みを理解することで“ムダな反応”を防ぐことができますが、ムダな反応をおさえるには、以下のような具体的な方法で “心の状態を正しく見る”ことが大切です。
1. 言葉で確認する
2. 感覚を意識する
3. 分類する
「言葉で確認する」ことは、現代ではメンタルヘルスの基本となっています。
たとえば緊張している時には「わたしは緊張している」と、言葉にしてみるということです。目をつむってそれを確認することで心が落ち着くのです。
「感覚を意識する」とは、カラダの感覚を意識するということです。目を閉じた状態で“カラダの動き”を感じるのです。あるいは呼吸をしながら“お腹のふくらみや縮み”、“鼻先を出入りする空気の感覚”を感じ取ります。
日常的に行う動作を“感覚”として感じ取ることで、心のムダな反応がおさえられていることに気付くでしょう。世界では「マインドフルネス」と呼ばれ、瞑想の手段として用いられる方法です。
「分類する」とは、心の状態をアタマの中でいくつかの種類に分けて理解する方法です。
基本的には「貪欲」「怒り」「妄想」の3つに分類します。「貪欲」とは“過剰な欲求”のことで、求めすぎや期待しすぎのこと、「怒り」とは“不満”や“不快”を感じている状態、「妄想」とは“想像”や“考え”、“思い出している”といった状態です。
心の状態を分類し、言葉で確認し、そしてカラダの感覚を意識することで“心のムダな反応”をおさえることができるのです。
<<悩みを超えれば自分を信頼できる>>
悩みを正しく理解し、“心のムダ反応”をおさえることができれば、全ての悩みを解消できます。それは、正しい方向性が見えるということでもあり、自分の生き方である「道」に迷いが無くなるということなのです。
悩みや苦しみは、「貪欲」や「怒り」、そして「妄想」です。自分でも気が付かないうちに心が反応して支配されてしまい、自分自身が見えていない状態になってしまいます。
心の反応を“よく見て”、ムダな反応をおさえることで必ず苦しみから解放されます。正しい理解と正しい思考で悩みを乗り越えれば、自分自身の人生を信頼することができるのです。
目次
- はじめに
- 第1章 反応する前に「まず、理解する」
- 第2章 良し悪しを「判断」しない
- 第3章 マイナスの感情で「損しない」
- 第4章 他人の目から「自由になる」
- 第5章 「正しく」競争する
- 最終章 考える「基準」を持つ
一言コメント
読みやすく、入門にオススメな一冊です。
注目の文章ピックアップ
・「正しく考える」ことで、どんな悩みも必ず解消できる。
・すべての悩みを根本的に解決できる方法があります。それは“ムダな反応をしない”ことです。
・“執着”以前に、悩みを作り出しているものがあるのです。それが“心の反応”です。
・それまでの「心の渇きの正体」がわかるだけで、その不満状態から抜けてしまうのです。
・反応せずに、まず理解する。
・「心の状態を見る」という習慣を持つ。
・「こうでなければ」という、自分の人生や、相手への期待も、それだけならただの「判断」。それはアタマの中にしか存在しないから「妄想」です。
・もし“道”に立つことができたら、人生に“迷い”はなくなります。
・「最高の納得」にたどり着くために。生きてまいりましょう。