あの世のこと 死の意味と命の輝き
- 著者:鈴木 秀子
- 出版:宝島社
- 発行:2017年8月4日
- 価格:1,000円+税
- 頁数:206ページ
- 評者:高橋 和葉
- 編集:スピりんく 編集部
スピリチュアルブログ版ダイジェスト
本日ご紹介するのは、聖心会のシスターであり臨死体験をしたことのある鈴木秀子さんの著書「あの世のこと-死の意味と命の輝き」です。死は恐れ忌むべきものではないこと、それを知ることによって豊かな生活を送ることができるというメッセージを伝えてくれる一冊です。
【死後の世界は美しく、死者は完全に満ち足りています】
死後の世界というのは圧倒的に美しく、完全に赦され、保護されているという至福の感覚だけがあり、愛そのものである金色の光に包まれた空間も時間も存在しない世界だそうです。
臨死体験をした人は皆、至福に満ちた感覚を経験しているといいます。また、どんな苦痛を伴う病の患者さんでも、その多くは深い安らぎのうちに死を迎えるそうです。
著者は修道院の急な階段から転落し臨死体験をした際、金色の輝きに満ちた見たこともない美しい光に包まれ、至福の感覚を得たそうです。そして、深くこう思ったといいます。
「生きとし生けるものの全てが神の愛によって一つに束ねられ、離れ離れのものは何もないのだ。全てがこの命の輝きに受け入れられ、赦され、完全に愛されている。これこそが本当の愛なのだ、と」
人は皆、神に与えられた魂の課題を持ってこの世に生まれ、そして、その課題が完了したときに訪れるのが肉体の死だといいます。
死は恐れ忌むべきものではなく、永遠の魂に生まれ変わること、愛に溢れ平安と喜びに満ち溢れた世界に帰り、神と一体になることなのだと著者は繰り返し伝えています。
【死者は私たちを導いてくれています】
死者は、この世に生きる愛する人を助け、導いてくれているそうです。その人の死によって人生の生き甲斐を見いだしたり、今までの生き方を見直して大切なことに気付いたりすることもあるでしょう。
また、愛する人を平安に導くこと、無条件の愛を注ぐことが死者の使命であり喜びであるので、死者は愛する人のSOSには必ず駆けつけ力になってくれるといいます。
大切な人の死を受け入れるのは難しいことです。愛する人を亡くした人は悲しみや罪悪感、後悔の念に捕われ自分を責め続けてしまうことがありますが、その時に大切なのはそれらの感情を否定し排除するのではなく、自分のものとしてきちんと受け止めることだといいます。あるがままの自分を受け止めることで、ひとつひとつ手放すことができるようになるそうです。
人生は喪失と誕生の繰り返しであるそうです。喪失は不幸をもたらすものではなく、幸せへの道標、悲しみは人生の幸福度を上げてくれる恵みであるといいます。
生と死は切り離して考えることができません。死を恐れることは生への恐怖を生み出すと著者はいいます。死を恐れず、受け入れ共に歩むことで十全に輝いた人生を送ることができるということです。
目次
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- はじめに
- 第1章 死の瞬間と死後の世界で感じた生の輝き
- 第2章 死はどんな意味を持ってやってくるのか
- 第3章 死者はこの世の愛する人を助け、平安へと導く
- 第4章 人生の苦しみをいかに受け止め、乗りこえるか
- 対談 生きるとは-人生の苦しみと幸福、その真実
一言コメント
死後の世界、死というものの受け止め方を、沢山の事例を交えて分かりやすく解説しているスピリチュアル本です。喪失が私たちの成長や幸せになりえること、身の回りに起こる全てに意味があり全てがつながっているということに納得させられました。たくさんの悲しみを乗りこえる力と生きる勇気をもらえる本です。
注目の文章ピックアップ
・私たちは独りぼっちではありません。生きとし生けるものすべてが、ひとつの命のつながりのなかで生かされています。自分は孤独だと想像はできても、孤独になれる人など、本当は誰もいないのです。
・死、それは喪失ではなく、かつて味わったことのない喜びへと私たちを導いてくれる、新たな旅立ちへの大いなる第一歩なのです。
・誰も「偶然に」死ぬことはないのです。
・亡くなった人はすでに神の至福の愛に助けられ、救われています。それ自身が愛で溢れ、何も求めることなく、ただ与えることだけが一番の喜びになっています。
・亡くなった人が一番に望むのは、愛する人が本当の幸せを手にすることです。そのためには、あらゆる出来事や経験を通して、平安への道案内をします。
・悲しいときは、十分に悲しんでください。自分を責める気持ちがわき起こってきたら、その感情を自分のものとして優しく抱き取ります。こうして、あるがままの自分をひとつひとつ受け入れていくと、手放すことも容易になり、心はしだいに静かになっていきます。
・人生とは喪失と誕生のプロセスです。それこそが、私たちに与えられた恵みというものではないでしょうか。
・悲しみや苦しみをいかに受け止め、それを乗り越えていくか。ただそれだけが、生きる姿勢として大切になってくるのだと、私は思います。