ああ正負の法則
- 著者:美輪 明宏
- 出版:PARCO出版
- 発行:2002年4月10日
- 価格:1,500円+税
- 頁数:187ページ
- 評者:今村剛
- 編集:スピりんく 編集部
スピリチュアルブログ版ダイジェスト
シャンソン歌手、劇作家、タレントなど多才な職業をもち、三島由紀夫や寺山修司といった著名作家からきゃりーぱみゅぱみゅなどアーティストとの交流がある人生経験豊富な美輪明宏さんの『ああ正負の法則』には、人生や宇宙にある正と負の法則についてわかりやすく書かれています。
正負とは、昼と夜、日向と日陰、陰と陽、北と南、男と女、天使と悪魔、光と影など、この地球の出来事の二つの要素を表しています。ずっと正であり続けることもなければ負であり続けることもない、つまりこの正負のバランスを人生においても適切に保ってより良い人生を送ろうというものです。
≪自分自身の正負とはなにか≫
すべての人に正負はあると著者は記しています。ただそのことに気づいていない場合が多く、大金持ちは正で貧乏は負であるというように見過ごしてしまう場合があります。大金持ちでも健康面で問題があれば負になりますし、貧乏でも愛情に恵まれていれば正になります。このように自分自身の正と負をよく吟味して、どちらが多いのかを知ることが出発点になるとしています。
≪人間は必ず平等にツケを払わなければならない≫
著者はそうした出発点から、すべてが正や負の人というのはいないと書いています。正が多ければ負を、負が多ければ正を補うことで最終的にはツケを払うことになります。つまり悪いことが起きたからといって嘆き悲しむことはないということです。負が永遠に続くことがないのと同じように正が永遠に続くこともありません。何か悪いことが起きたときには正になる行動をし、良いことが起きたときには負になる施しをし、先回りをしてバランスを取ることが大切だと記しています。
≪孤独は悪いものではない≫
友人が多いというのは正のようにみえますが、負も多く抱えこんでいると書かれています。人間関係を多く持たなければならないので、それだけ相談事、厄介事、事件などに巻き込まれやすくなります。友人が少なく孤独であるというのは、そうした出来事が起こりにくいので静かな正が多くなります。孤独とは負ではなく、一人でも充足しているという毅然とした誇り高い姿であると著者は記しています。
このような正と負の関係を具体例を挙げて記されています。結婚の正と負や家族の正と負などです。また歴史に名を残した人物の正と負の解説が豊富に描かれています。クレオパトラ、楊貴妃、小野小町、ローラ・モンテス、エンマ・ハミルトン、グレタ・ガルボ、ヴィヴィアン・リー、エリザベス・テーラー、グレース・ケリー、サラ・ベルナール、ダイアナ妃、エリザベート妃など多数ありますので書籍で確認してみてください。
目次
- 序文
- はじめに
- 第一章 自分自身の<正>と<負>を知る
- 第二章 私の≪正負の法則≫
- 第三章 ≪正負の法則≫を生活に活かす
- 第四章 すべてを手に入れてしまったら
- 第五章 登りつめたら下るだけ
一言コメント
落ちこんでいるときのモノの見方と調子がいいときのモノの見方が理解しやすくなっています。また多くの歴史上の人物から正負の法則を通じて生き方を解説しており、いまだけではなく今後の目標を考えている方にも役立つオススメの一冊です。
注目の文章ピックアップ
・一番肝心なことは、悪いことが起きたからといって、嘆き悲しむことはない、ということです。悪いことは長くつづきませんから。そのかわり、良いこともまた長くはつづかない。だから、良いことがあったときには、施しをするなどして、そこそこの<負>を先回りして自分で意識してつくるとよいでしょう。
・友人知己が多く、人の出入りの多い家は幸で吉で<正>だけ、というのは間違いです。人の出入りが無い家は、それ等の相談事、厄介事、事件も無いのです。ひっそりしてはいるが平和です。ですから友人知己がいないことを嘆いたり、劣等感に陥ったりする必要はないのです。また、友人が多いからといって自慢することもありません。孤独には孤独の素晴らしい良さもあるのです。
・<孤独>とは惨めでも哀れでもなく、「自分一人だけで充分満ち足りている、充足しているんです。他の人のお助けには及びません」という、毅然とした、誇り高い姿なのです。
・世間には、独身は<負>、結婚は<正>という誤った価値観があります。どちらにも良い所もあれば悪い所もあるのです。
・<負>もほどほどに、<正>もほどほどにしておかなければなりません。親しくすること、親身になることが<正>であるとして、距離をおいてよそよそしくすることが<負>であるならば、<負>を四分くらいにして、親しくするほうの<正>を六分くらいにしておけば、うまくいくのです。