何しに生まれて来た
木月間 翔(2017/10/15)

 

何しに生まれて来た

  • 著者:木月間 翔
  • 出版:文芸社
  • 発行:2017年10月15日
  • 価格:1,100円+税
  • 頁数:201ページ
  • 評者:江藤 奈月
  • 編集:スピりんく 編集部

スピリチュアルブログ版ダイジェスト

『何しに生まれて来た』は、ある男性が、お金のない村を築こうとしている人々と出会い、交流を深めていくという物語です。著者の木月間翔さんは、氣功教室に通い始めてから、スピリチュアル本に興味を持ち、この小説を書き上げました。その後、木月さんは、ある霊能者から、その身のまことを実践し、多くのまことを皆々に知らせるべしと啓示され、出版に至ったとのことです。

《お金のない不思議な村》

建設会社の係長である金城は、部長から、取引先の専務に、賄賂を渡すよう命じられました。
しかし、賄賂を渡さないうちに、その案件は、他社が受注することになってしまいました。
部長から嫌がらせを受けた金城は、「会社を辞める」と言って、あてもなく飛び出してしまいました。

田舎にやって来た金城は、不思議な人々が暮らす村にたどり着きました。
人々はお互いにニックネームで呼び合い、ボランティア活動をしながら、自給自足の生活を送っていました。
ここは実験的に、お金のない暮らしを実践している村だったのです。
金城は、友ちゃんと呼ばれている村長に出会います。

金城が「お金のない暮らしって不安じゃないですか?」と尋ねると、友ちゃんは「じゃあ聞くけど、お金のある暮らしに不安はないのか?」と答え、現代の人々が、年金問題やローンの問題などで、「いつもお金の心配ばかりしている」と語ります。

この村では、欲しいものがある時には、村にある大きな倉庫から、タダで自由に物を持っていくことができます。
この村ではお互いに分け与え、助け合うことが当たり前になっているので、誰かが余分に持っていってしまうという心配もないそうです。

金城はこの村で、トムというニックネームを名乗りました。この村で出会った多くの村民たちは、それぞれトムに身の上を語りました。
彼らは、かつてお金のために辛い経験を重ねてきた人たちばかりでした。

《村長によるスピリチュアル勉強会》

村では友ちゃんによるスピリチュアル勉強会が開かれていました。
村人は友ちゃんから、あの世の話や宗教の話、生きる意味についての話を聞きます。

友ちゃんは、この村に天国を創りたいと言います。
天国を創るために必要なことは、感謝と助け合い、愛があることなのだそうです。

トムは、村での生活を楽しむようになりました。いつしか、自分を貶めた部長に対する恨みも、次第に薄れてゆきました。

《お金の代わりに愛によって成り立っている村》

お金の代わりに、愛によって成り立っている村。
そのような村をつくる試みは、これまで実際に世界各地で行われてきました。中には失敗する例もありましたが、だからといって「実現は不可能」と決めつけるのは、早すぎるかも知れません。

この物語は、トムの視点で進められてゆきます。
読者はトムと同じ気持ちになって、友ちゃんたちと仲良くなっていきます。
友ちゃんは、エライ村長さんというよりは、面白いおじさんといった感じのキャラクターです。

彼らの話に耳を傾けていると、「私たちにもこのような社会が実現できるのでは?」という気がしてきます。
それは、友ちゃんの語り口が、私たちの心にある、「愛と思いやり」の心を、思い出させてくれるものだからです。

「現代社会を、愛と思いやりによって成り立つ社会に変えていくためには、いったい、何が必要なのだろうか?」と、興味を持った方は、ぜひお読みになってみて下さい。

目次

  • はじめに
  • 賄賂
  • 希望の村
  • 入村
  • 質問
  • 洗脳
  • 目的
  • 村内
  • 入村後の体験
  • 物の見方[ほか23]

一言コメント

友ちゃんをはじめとする、村人たちの言葉に含蓄があり、彼らの発する言葉に癒され、繰り返し読みたくなります。分かりやすい物語なので、スピリチュアル本の初心者の方でも、気軽に読めます。
この本を読んでいると、私たちにも友ちゃんのように、愛と思いやりのある社会が実現できるかも知れないという気持ちになってきます。

注目の文章ピックアップ

・「素晴らしい夢ですね。でも時間がかかる」「時間なんて問題ないさ。私達が死んで、次の次の世代になろうとも、意志を継ぐ者がいれば、それでいいのさ」

・平等を強制しなくても、ある者がない者に分け与える心、強い者が弱い者を助ける、相互扶助、困っている村民を助けることで自然と平等になり、平等でなくても許せる心になると思っています。全ては、愛です。

・社会主義は能力により働き、労働に応じ受け取る。共産主義は、能力により働き、必要に応じ受け取る。この村の定義は、愛により働き、何も受け取らないです。

・私はお金のために発展する社会に愛を感じません。それより、人々のために発展する社会のほうに愛を感じます。

・人はみな、誰でも幸せになりたいのです。ただ大切なのは、自分一人が幸せならいいではなく、みんなで幸せになるなら、もっと大きな喜びと幸せである、みんながひとつであるということに気づいて欲しいのです。

・僕はこの地球での輪廻転生は終わりだと勝手に思っている。だから、この雲も、木々も大自然も最後だと思うとなぜか愛しくてね。

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何しに生まれて来た 木月間 翔

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