乙女の教室
- 著者:美輪 明宏
- 出版:集英社
- 発行:2008年8月30日
- 価格:1,600円+税
- 頁数:287ページ
- 評者:小野川 静香
- 編集:スピりんく 編集部
スピリチュアルブログ版ダイジェスト
乙女の教室は、歌手や役者などとして活躍されている美輪明宏さんが、乙女とはどのような女性なのか、乙女の美徳とは何なのかを説明し、女性たちに乙女として生きることをお勧めする本です。
本ではまず、乙女とはどんな女性なのかが説明されています。
日本では昔、甲乙丙丁という言葉で順列が示されましたが、その上から2番目の乙がつく女性が乙女なのだと著者は言います。
「清楚で上品で聡明で、恥じらいがあって奥ゆかしく、教養や知識があってもそれをひけらかさない女性」が乙女なのです。
この乙女に必要な美徳が、この本では24の課題として、ひとつずつ説明されています。
本書は、乙女であるために大切なのは形ではなく心だと言います。
ですからそれぞれの課題において、なぜそうすることが必要なのかという部分についても説かれているのです。
例えば課題の1つとして、「いつも微笑んでいましょう」という項目があります。
著者の微笑みは、人類愛もしくは人間愛という内面から生まれているそうです。
そして、いつも微笑んでいる人を嫌いな人はいないし、笑顔でいれば周りの人たちも本人も幸せになるのだと書かれています。
微笑みが大切であるというエピソードとして、歯並びを気にしていつも仏頂面でいた女性の話が取り上げられています。
女性は著者から「笑っても笑っていなくてもみっともないのだから(笑)、どうせなら笑いなさい」とアドバイスを受けました。
それから女性は必死で微笑むようにしたところ、1週間後にはボーイフレンドができたのだといいます。
また、「人生のヒロインになりましょう」という項目もあります。
著者は、人生はドラマだと言います。
ですから、自分が目指すヒロインをイメージし、ひとつひとつ実行していけばよいのだそうです。
そうすると、自分自身が少しずつそのイメージしたヒロインに近づいていくと書かれています。
悲観的な想像しかできない人は悲観的な人生を送り、幸せを信じて毎日楽しく生きていると本当に幸せになれるのだと著者は言います。
なぜなら私たちの人生は、自分自身で選んで創り上げるものだからだそうです。
さらに、「乙女のソフトをインストールしましょう」という課題もあります。
ここで著者は例えとして、日本の劇場を挙げています。
バブル時代以降、日本では大きなホールや劇場が建てられましたが、そこで上演する芝居やコンサートが絶対的に足りないと言うのです。
これは人にも当てはまり、キレイな服を着て、外面では豊かな暮らしをしていますが、内面が伴っていないと警鐘を鳴らしています。
この本の中で著者が説く道徳や美学は、自分自身というハードを生かすためのソフトだと言います。
著者が言う大切なこととは、「人間としてどう生きるか」という内面のことなのです。
この他にも、乙女になるための様々な心がけが書かれています。
また本書の後半には美輪語辞典として、著者が講演会やテレビで話すことの多い50のキーワードが、著者の解釈によって説明されています。
日々実践できることが多く書かれていますので、ぜひ書籍を読んでみてください。
目次
- 美輪的 乙女のすすめ
- あなたの品格をあげる 乙女の課題
- 1 奥ゆかしい女性になりましょう
- 2 心をこめて挨拶をしましょう
- 3 恥ずかしいことはやめましょう
- 4 思いやりを持ちましょう
- 5 いつも微笑んでいましょう
- 6 美しい言葉を使いましょう
- 7 あなたの人生のヒロインになりましょう
- 8 嘘は上手につきましょう
- 9 色気のある女性になりましょう
- 10 品のある女性になりましょう [ほか 14]
- Q&A 美輪明宏についての疑問と不思議にお答えしましょう
- 特別編集 読むだけで美しくなれる! 美輪語辞典 永久保存版
一言コメント
外見的な美しさではなく、人としてのスピリチュアルな、内面の美しさについて考えさせられる本でした。
著者が言うことにはこれまでの経験が織り交ぜられているので、説得力があります。
文章も堅苦しくなくて、あっという間に読み切ることができ、スピリチュアル本をあまり読んだことがない方にも、おすすめの1冊です。
注目の文章ピックアップ
・微笑むか、微笑まないか。自分の気持ち次第で、あなたの世界は極楽にも地獄にもなります。あなたが笑顔でいれば、周りの人たちもあなた自身も、幸せになるのです。
・自分が不幸になるのではないかと心配し、不幸な自分を想像して不安な毎日を過ごしていると、不幸になりやすいもの。
それとは逆に、自分は幸せになれると信じて、毎日を楽しく生きていると、本当に幸せになれるのです。
・あなたという人間の大きさにピタリとはまる分だけ、お金はあなたのところにやってくるのです。
・優しさ、思いやり、想像力や誇りなど、それらはあなたの内面を充実させる知恵であり、賢く生きるセンスであり、人生を楽しむウィットです。
・「女性としてどう生きるか」を悩むのは、ナンセンス。大切なのは「人間としてどう生きるか」、ということ。
・めざすのは、ただひとつ、良い人間であること。
人に迷惑をかけず、笑顔で一生懸命に生きる良い人間には、すべてが許されるべきです。
何をやっても、どんな格好をしても、責任さえ取れるのなら、あなたは自由なのです。
・性別に関係なく、外見にも関係なく、年齢にも職業にも学歴にも家柄にも関係なく、人として優れているかどうかが、その人の絶対的な魅力になるのです。