敏感すぎる自分を好きになれる本
- 著者:長沼 睦雄
- 出版:青春出版社
- 発行:2016年5月10日
- 価格:1,300円+税
- 頁数:211ページ
- 評者:芹澤冬美
- 編集:スピりんく 編集部
スピリチュアルブログ版ダイジェスト
本日は「敏感すぎる自分を好きになれる本」をご紹介したいと思います。北海道で「とかちむつみのクリニック」を開業されている長沼睦雄先生は、日本では数少ないHSPの臨床医です。その長沼先生がHSPとは何か、どの様にその気質と付き合っていけば良いかに付いて書かれた書籍です。気質と性格とは似ているようで、全く違うものだという事です。気質とは生まれながらに持っている刺激などに反応する行動特性であり、性格とは気質から作られる行動や意欲の傾向の事を指すそうです。
クヨクヨしたり、落ち込んでしまうことは誰にでもあることです。しかし、些細なことで思い悩み、深く沈み込んでしまう人達が、約5人に1人います。彼らは決して性格が弱いわけではなく、HSPという元からの気質の可能性が高いということを、アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士が見出しました。彼女の調査によれば、どの社会にも15~20%の割合でこのHSPの人々がおり、その性質は後天的なものではなく生まれながらのものだということです。
HSPの人達は、五感だけでなく第六感もとても敏感で、普通の人は気づかない様なことまで気づいてしまいます。その為に世の中は常に刺激で溢れており、ストレスにいつも晒されている様な状態になってしまいます。HSPの人達はまた、優しい気質も持ち合わせている場合が多く、他人の気持ちにも大きく左右されやすいと言われています。
しかし本来の自分を知り、心構えや環境を整えることで、生きやすく、また、HSPの特性を長所として活かして行くことが出来ます。その方法がこの中に沢山記されており、多くのHSPの方々、またその周りの方に役に立つ書籍です。
まだまだ知られていないこのHSPについて、多くの人に知ってもらい理解してもらうことを目指し、アーロン博士の概念に長沼先生の臨床医としての経験を融合させてこの本は書かれました。長沼先生は、沢山のHSPの方々を診察してきて多くのことを患者さん達から学んだと言う事です。この本は、HSPの方本人だけではなく、ご家族の方や周りで支えている方にもヒントになることが書かれています。どういう事なのか、どう接すれば良いのか、そのような分かるととても励みになるのではないでしょうか。長沼先生はまた、この本を通して少しでも、HSPの人達が自分たちの個性を誇らしいと思えるようになったら本望だと考えておられます。
目次
- まえがき
- 第1章 5人に1人いる”敏感すぎる人”たち
- 第2章 過剰な敏感さが「生きづらさ」の原因だった
- 第3章 敏感すぎる自分に振り回されずに生きるには
- 第4章 敏感な人が陥りやすい15の「困ったこと」の対処法
- 第5章 あなたの身近な人が「とても敏感な人」だったら
- あとがき
一言コメント
あまり知られていないHSPという気質について的確に書かれており、思い当たる人は本当に救われる気持ちになるのではないかと思います。敏感な感性を持っていることは、罪ではなく個性だということを多くの人に知ってもらいたいと思いました。
注目の文章ピックアップ
過剰に敏感なのは、脳内の情報処理能力が高いから
感覚が鋭いHSPの多くは、この脳内の情報能力がきわめて高いと考えられます。
敏感だからこそ、異変や異常をだれよりも早く察知できる
刺激を鋭敏にとらえ、その中で少しでも人体にとって危険なもの、よくないものがあれば、それをいち早く察知できるのは、HSPの大きな特徴です。
HSPは他人の気分にはげしく左右される
表情や声の調子の小さな変化などから相手の気持ちを読み取ることに長けていますし、また、複数の人たちがいる場所でも、そこに足を踏み入れた瞬間に、その場に流れる空気を察知できたりします。
HSPの中には「超能力的な力」を持つ人もいる
その過敏さゆえに、五感を超えたさまざまな感覚を持っている超能力的な人たちがいるということまでは、否定できない
生きづらさをなくすために大切な3つのこと
知る、対応する、心構えを作る
HSPがやめるべき考え方
自分の中の「いい子」をやめる
自分を責める気持ちを捨てる
自分がHSPだと意識しすぎるのをやめる
HSPが大事にすべき習慣や行動とは
頑張りすぎない、抱え込まない
プラス思考ではなく、「プラスの感情」を大事にする
”意識下”にある感情や感覚、直感を大事にして行動する
合わない環境に身をおきつづけるのをやめる