運命を拓く天風瞑想録
中村 天風(1994/1/26)

 

運命を拓く天風瞑想録

  • 著者:中村 天風
  • 出版:株式会社講談社
  • 発行:1994年1月26日
  • 価格:637円+税
  • 頁数:307ページ
  • 評者:宮村凌
  • 編集:スピりんく 編集部

スピリチュアルブログ版ダイジェスト

明治9年に生まれた中村天風氏は、日清戦争で諜報部員としておおいに活躍するも、弄馬性結核を患いました。病を治す術もないまま帰国の途についたのですが、その途中でヨガに出会いインドの山奥で修行を積むことで、病を治し、自ら運命を拓く方法を悟ったという異色の経歴を持つ人物です。
自らの運命を拓くためには「積極的な心」を持つこと、つまり「勇気」が最も重要なことだと中村天風氏は説いています。

<<心の積極化>>
人生において望まない出来事が起きている時、消極的な心が現実となって現れているのです。それは、病に限ったことではありません。事業の失敗や金銭的な困難、身の回りに起きるあらゆる出来事です。
しかし、現状が悪くても、それらは心の置きどころによって改善できることを、中村天風氏は自身の経験を踏まえて教えてくれます。
心が積極的にあるか、あるいは消極的にあるかによって、自分の運命を大きく左右してしまうというのです。
「人間の健康も、運命も、心一つの置きどころ」という一節は、気の持ちようというありふれた言葉に置き換えがちですが、中村天風氏の経験や、そこに至る悟りは、私たちの心を大きく揺さぶり、納得させる力を持っています。

<<心の態度が結果を引きつける>>
例えば、病に伏せた状態であるならば、「もう何をしても治らない」と自ら諦める心が“消極的な心”であり、希望を持つ、あるいは「必ず治る」という意志のもと、自ら動こうという心を“積極的な心”であると言えます。
そして、このように心が積極的であるか否かを、中村天風氏は「心の態度」と表現しています。
心の態度次第では、人生を大きく左右する結果を引きつけ、生きるか死ぬかという両極端な結果すら生み出すことが分かるのです。
心が積極的であるということは、自身の運命を拓くためにどうすれば良いか、そして常に希望を持っているということなのです。

<<心を積極的にする要点は「勇気」>>
積極的な心を持つということは、心に不安を抱えている状態ではとても難しいことでもあります。しかし、中村天風氏は、その答えを明確にしています。心を積極的にすることは「心に勇気を持つ」ことであると説いているのです。
初めての事柄にチャレンジする時を想像してみると理解しやすいでしょう。“何が起こるか分からない”未来には不安を感じます。しかし、行動を決意した時、そこには「勇気」があり、それは「心を積極的」な方向へ導いているのです。
私たちが行動を起こす時には、大小なりとも勇気が無ければ動くことができません。そして、行動を起こしている時は、勇気が心を積極的に動かしていると言えます。
中村天風氏は「勇気さへ失わなければ、何も怖れるものはない」と説き、それは同時に心が積極的であることを意味しています。
私たちが人生で困難を感じる時、心が積極的であるための「勇気」を持つことが、何よりも大切なことなのです。

目次

  • 天風小伝・まえがきに代えて
  • 心理瞑想行について
  • 序章朝旦偈辞
  • 第一章生命の力
  • 第二章人生を支配する法則
  • 第三章潜在意識とその性能
  • 第四章言葉と人生
  • 第五章大いなる悟り
  • 第六章人生と運命
  • 第七章人間の生命の本来の面目
  • 第八章人生の羅針盤
  • 第九章第一義的な活き方
  • 第十章恐怖への戒め[ほか3]
  • あとがき

一言コメント

自分の人生がうまくいっていない、困難なことばかりが続く原因が「心」にあることに気付かされます。ではどうすれば幸せを感じられるのか。それは「心を積極的」にすること、つまり勇気をもって「良い方向にある」と考えることこそ、運命を拓く方法だと知ることができる一冊です。

注目の文章ピックアップ

・最も重要なことは、心を絶対的に積極化し、精神態度を本来ありうるべき姿に即応させることである。

・心一つの置きどころ、積極か消極かというだけで、人生の幸福の宝庫が開かれるかどうかが決まってしまう

・簡単に得たものは失いやすい

・何でもないと、自分が思っていて、それが直接的には自分の心の態度を、そして結界において自分の人生や生命に大きな影響を与えるものとは、それはいったい何であろう・・・・・・。それは諸君が日常便利に使っている「言葉」というものである。

・実際人間が日々便利に使っている言葉ほど、実在意識の態度を決定するうえに、直接に強烈な感化力をもつものはない。感化力というよりはむしろ暗示力といおう。

・人間の思ったり、考えたりする思考が、良きにつれ、悪しきにつれ、深刻であればあるほど、その事柄を自分に引きつけるにふさわしい資格を、自分が作ってしまうのである。

・本当の幸福とは、自分の心が感じている、平安の状態をいうのだ。

・心を積極的にする要点は何かと言うと、勇気の煥発だ!だから、すべからく何事に対しても、またいかなるときといえども、勇気、勇気で対応しなければならない。

・勇気さえ心から失わなければ、何事もこの世に怖るるものはないのである。

・最初に、信念強く、その希望が「実現する!」と断定したときには、その事柄は、霊の世界においては、もはや実在となっているからである。

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運命を拓く 中村 天風

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